どのマンションが安心なの?
前回はマンションの施工不良が起きてしまう原因を考えました。
今回は気になる、「どこなら安心なの?」を掘り下げて行きたいです。
今回ように大手デベロッパー(販売会社)、ゼネコン(施工会社)が誠に残念な不祥事を起こしていますが、これからマンションを購入しようと考えている顧客はどこを選び、どこに気をつければ良いでしょうか?
答えは
それでも「大手を選択」
でしょう。
私自身、今回の施工不良の一件で明確に分かったことがあります。
それは大手デベロッパーは何があっても「自社ブランドを守る」ということです。
今回、マンション施工不良の報道があった大手デベロッパー、ゼネコンのひとつは完成間近であったにも関わらず、建物を解体して建て替えを決めました。
技術的には元設計の強度を担保しながらも設備配管の補修工事は可能でした。
にも関わらず、購入者全てに違約金を支払い建て替えを決断したのは、一件の数十億の建設費ではなく「今まで作り上げてきたブランド」こそが価値あるものと判断したということです。
しかし、このようなことは全てのデベロッパーが出来る事ではありません。
特に中小規模デベロッパーでは建物を建て替えるようなことは会社の体力的に無理でしょう。
もし、資金があったとしても、株主や取引先(主に銀行)からは理解が得られないと思います。
その場合は、施工会社による建物の是正工事が行われ、当初と同じ品質(または建築基準法で定める基準など)が担保されているか検証が行われます。
ただ、施工不良があったことが分かると、建物全体の資産価値が下がってしまうことが考えられます。
もし、購入した部屋を売却しようとしたときは、価格が通常以下の査定になってしまうリスクが考えられます。
結局購入者が泣いてしまうことになります。
一方、大手の会社のなかに「買取り保証」を提示したデベロッパーがありました。
買取り保証の内容は不明なので想像ですが、「部屋の購入金額と同額で買い取る」というところだと思います。
これもかなり特殊な例ですが、このように施工不良があった場合、
一般の中古マンションの売却査定価格程度では、住民の理解は当然得られないと思われます。
このように、大手デベロッパーとゼネコンだからこそ出来る、消費者への賠償があることは今回の一連の不祥事でよくわかるところでした。
では、中小のデベロッパーはダメなのか?
というとそうではありません。
地元の比較的小規模なデベロッパーと自社の施工会社によるマンションであってもその施工品質レベルが申し分ないところはあります。
施工不良時の保証という面では大手のようにはできないけれども、品質管理を徹底することで建物の価値を高く維持出来ることが可能です。
しかし、こういった施工状況を見極めるのは一般の方は非常に困難です。
ほぼ運と言っても言い過ぎではありません。
ただ、専門知識を持つホームインスペクターであれば、目視出来る範囲で施工不良を発見し、契約前、引き渡し前に売主や、施工者に是正工事を依頼したり、状況によっては契約自体を取りやめる判断も可能です。
これからは購入者もよく見て、勉強し、自らの責任で判断することが求められます。
私たちホームインスペクターはその一助になればと考えています。
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