京都のホームインスペクター 

京都 ホームインスペクション(住宅診断)のブログ

水周りは換気をすべし

 II水回りは換気をすべし

 

今回は家を長持ちさせるためのノウハウをご紹介します。

 

劣化状況はケースバイケース

住宅のリノベーションやインスペクションで数多く木造の中古住宅を見ていますが、建物ごとに劣化状況は実に様々です。

建物の外壁に大きなクラック(亀裂)が見られると、クラック部分周りの柱梁といった構造部材は概ね劣化しています。

具体的には亀裂部分から壁内部に雨水が侵入して壁下地や柱梁を濡らします。

古い住宅の外壁内部は通気性が悪いので、一旦壁内が常に湿った状態となり構造材が腐りやすくなります

一方、建物の外壁にクラックがなく、とても綺麗な場合はどうでしょうか。

外壁にクラックが見られない場合でも、バルコニーと外壁の取合い部分サッシ枠から雨水が侵入していた例もあるので油断できません。

住宅の劣化はケースバイケースだなと思う次第です。

 

劣化状況にみられる共通点とは

劣化状況は様々ですが数多くみていると共通点があることに気づきます

それは洗面所、お風呂場といった水周りの劣化状況です。

木造住宅の場合、共通して水周りの劣化が進みやすいことが分かりました。

水周り劣化TOP3は

・洗面所の排水管接続口まわりの床

脱衣所の床下地

浴室の壁(壁内部)

です。

 

洗面所の排水管から水漏れ

排水配管の接続部から水が漏れて床仕上材や下地材が腐っている場合や鉄管の排水管が錆びて漏れている場合があります。

他にも排水管の詰まりを直そうと中途半端に対応した結果、水が漏れた場合等がありました。

いずれにしても、排水管から水が漏れ続けた結果です。

元の原因は部材の劣化です。

排水管の接続部分にはもともと水が漏れないようにゴムパッキンで止水していますが、そのゴムが劣化して止水効果が無くなったことによる水漏れです。

また鉄管の排水管も錆びも部材の劣化です。 現在は塩ビ素材の排水管が一般的ですが、20年ほど前でも鉄管を使用している住宅は多く、そのほとんどが劣化しています。早急に塩ビに取り替えをお勧めします。

その場合はDIYや便利屋ではなく、是非お住まいの町で長く営んでいるプロの水道工事屋さんに依頼してください。

 

脱衣所の床下地の劣化

脱衣所を歩くと床が凹んだり沈んだりしていませんか?

それは床下地が劣化していることが考えられます。

フローリング床の場合、「キュキュ」という床鳴りがしたら症状が出ている兆しです。

原因は湿気と風呂上がりの水気

湿気が床仕上と下地の間に入り込みます。材料の接着材が劣化したり、層状になった下地板を貼合わせている接着材が劣化することによって、下地がスカスカになってしまっていることが多いです。

下地ベニア板内部まで水分が浸透して腐朽菌によってボロボロなってしまいます。

床下の通気が良くても脱衣所の湿気には不十分です。

長らく放っておくと床下地だけではなく根太や大引、土台といった床構造材の劣化や蟻害につながりますので、 床が沈むなど気になる場合は床の張替えをお勧めします。

 

浴室の壁内部の劣化

浴室は最近はユニットバス(ハーフユニットを含む)が主流ですが、モルタルFRPなどで防水を行う在来工法と呼ばれる浴室の作り方の場合は経年で壁内部の柱や柱脚土台が劣化していることが多いです。

これは浴室内部からは判断つきません。床下に潜ったり、解体してみないとわからないからとても厄介です。

構造材の劣化は在来工法の浴室に多いですが、私より経験豊富な大工はユニットバスでも同じように劣化すると言っています。

原因は脱衣所と同じで、水や湿気です。

壁内部に湿度がこもってしまい、湿気が逃げず腐朽菌や蟻によって構造材がボロボロになってしまいます。

建築基準法前に建てられた住宅の場合、基礎に焼レンガを使っていることがあります。元は硬かったはずのレンガがスナック菓子のようにサクサクの状態になっていたときはいつ崩れるかわからない怖さを感じました。これも水や凍害によってレンガが砂状になってしまったことが原因と考えられます。

 

日本の気候条件も劣化原因

これらは築20年以上の木造住宅では共通してみられる劣化症状です。

日本は欧米とは気候条件が異なり、温暖多湿のモンスーン気候です。

建材の劣化もありますが気候条件も住宅の劣化を引き起こす一因ではないかと考えています。

 

誰でもできる簡単な対応方法があった

そんななか、築20年以上の住宅で脱衣室も浴室の躯体も劣化していない!例外中の例外がありました。 

私は驚きましたが、大工も感心したその住宅にはある条件がありました。

それは、、

換気扇が付いていた。

そして24時間365日換気扇を回しっぱなしだったと言います。

その理由を家主に聞いたところ、

「脱衣室にも浴室にも窓がなく、換気ができないので、脱衣所に換気扇を設置常時回しっぱなしだった。」

ということでした。

 

月100円で住宅を長持させる

換気は大切で単に特に窓を開けていることよりも常に強制排気して通風していることが重要ということを知りました。 また冬季は窓を開けると寒いので閉めっぱなしになりますから窓だけでは十分に換気できません

皆さんが住んでいる住宅には脱衣室、浴室のどちらかに換気扇が付いていると思います。そのうちひとつを回しっぱなしにしてみてください。(排気量が小さい方で良いです)

このことを知って以来、我が家でも(賃貸ですが換気扇を回しっぱなしです。

結果的には夜から朝の間に浴室内はすっかり乾いていますし、何よりも浴室にカビが発生しなくなってお掃除の手間も随分楽になりました

浴室換気をしているので脱衣室も洗面下も換気できているようです。住宅にはとても良い状態を保てていると思います。

今まで、電気代を気にして使っていないときは消してしましたが、浴室換気扇(消費電力5W程度)を回しっぱなしでも100円/月程度なので今日からでも是非お勧めします!

 

ということで、今回は珍しく生活の役に立つ話題を取り上げました。

 

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