中古住宅の価格の決まり方(再掲)
II中古住宅の価格の決まり方
前々回は中古住宅売買において、「その建物がどのような状態か」といった専門家が診断した物件情報が抜けていると話しました。
本編の前に少し補足します。
これは不動産仲介業者が悪いということではなく、新築住宅を建て、販売することで利益を上げてきた新築一辺倒時代の弊害によるものと考えています。
例えば、固定資産税の算定ルールは新築住宅を引き渡した直後に価値が20%自動的に下落し、22年後にはその価値はゼロになります。
ほとんどの不動産はこういった不動産流通の評価制度によって実際の建物の価値や劣化状況とは関係のなくその価格が決められています。
前置きが少し長くなりましたが、今回のテーマ。
中古住宅の価格はどうやって決められるのでしょうか?
売買を目的とした中古住宅の価格を査定しているのは主に不動産仲介業者です。
不動産鑑定士が鑑定する場合もありますが、レアケースです。
不動産価格を試算する方法として「原価法」「取引事例比較法」「収益還元法」といった3つの手法を併用して価格を求めます。
不動産価格を試算する方法として
- 「原価法」
- 「取引事例比較法」
- 「収益還元法」
といった3つ手法があると説明しました。
それぞれの手法の特徴を簡単に説明します。
*原価法
不動産を再調達するための費用を積算し、経年などによる減価を行って価格を求める手法。「いくらかかったか」という費用性からのアプローチ。
*取引事例比較法
近隣にある類似した不動産の取引価格をもとに価格を求める手法。「いくらで取引されているか」という市場性からのアプローチ。
*収益還元法
不動産から得られる純収益(賃料マイナス経費)をもとに価格を求める手法。「いくら稼げるか」という収益性からのアプローチ。
そして、不動産価格は上記3つの試算手法を併用し、不動産の種類によって、価格を調整して算出されます。
不動産の種類は下記のように大きく3つに分類できます。
A.戸建住宅
B.分譲マンション
C.賃貸住宅
主に
A.戸建住宅は「原価法」
B.分譲マンションは「取引事例比較法」
C賃貸住宅は「収益還元法」
に重きをおいて調整された価格が算定されます。
上記のほか売主、貸主がいくらで売りたい、貸したい、といったことも価格に反映されます。
ここまで、かなり退屈な話題なってしまいましたが、この退屈な計算によって、まさに不動産の価格が決められているのです。
その住宅がどのような状態か、壁紙は張り替えなくても大丈夫?シロアリに食われていないか?床は傾いていないか?雨漏りの心配は?
反対に手入れが良く行き届いて、減価するどころか、価値が上がっているのでは?といったことも考えられます。
他にも、気になることは山ほどありますが、住宅の個別の状況は把握されていないうえ、不動産売買価格に考慮されていません。
住宅の状況がわからないということで、中古物件を購入し、消費者が不具合に初めて気づき、売主との間でトラブル。ということもあります。
購入前に不具合の有無を知っていれば、買手にとってはそれが購入の判断材料のひとつに出来るはずです。
売手にとっても、不具合を事前に説明することで、後のトラブルを回避でき安心した取引ができます。
次回からは、このことをふまえて、ホームインスペクションの調査内容を説明します。
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