ハウスメーカー施工物件のホームインスペクション 2
IIハウスメーカー施工物件のホームインスペクション2
前回のつづきで、ハウスメーカーが設計施工をした物件のホームインスペクションを行った事例を紹介したいと思います。
*きれいな外装。ぼろぼろの内装。
メンテナンスが良く、外壁がとても良い状態だったことはお伝えしました。
窯業(ようぎょう)系サイディングは表面に塗装コーティングすることで、紫外線や風雨から基材を保護しています。
経年で塗料が剥がれて来ると、外壁材の表面に粉がふいたようになる「チョーキング」という現象やひび割れが生じやすくなります。
窯業系サイディングメーカーは10年毎を目処に外壁再塗装のメンテナンスを推奨しています。
さて、内装ですが、床はフローリング、壁、天井がビニールクロス仕上です。
どこの部位が一番劣化が見られてでしょうか。。
それは、ビニールクロス仕上部分です。
至る所でクロスが壁や天井から剥がれて垂れ下がって無惨な状態でした。
恐らく、クロスの接着剤が劣化し固着力が無くなりめくれてきたようです。
少しの範囲であれば、DIYで修理も可能ですが長い期間放置していたようでめくれたクロス自体も劣化していました。
こうなれば、張替えが必要です。
*クロスがめくれたら木工用ボンドで補修
クロスのめくれも少しの箇所であれば、木工ボンドを薄くクロス裏側に塗れば簡単に補修が可能です。
クロスメーカーによるとクロスは概ね10年を目処に張替えを推奨しています。
今回の住宅は築20年なので、クロスも汚れが目立ちましたし接着剤の耐久性も無くなったということでしょう。
*劣化が少なかったフローリングだが、、
壁と天井は無惨な状態になっていましたが、床はどうだったでしょうか。
床に劣化はほとんど見られませんでした。(一部を除いて)
床は複合フローリングにUV塗装(つやあり)という一般的な仕様でした。
フローリングに反りや乾燥による収縮も見られません。
ただ、表面塗膜のキズや劣化があり、色が暗くなっていたので補修で再塗装すればより良くなるのではないでしょうか。
1カ所、フローリングの表面塗料がひび割れを起こし、フローリング自体も変色劣化ているところがありました。
それは南側の縁側です。
南側に掃出し窓があるのはその箇所のみで、一年を通し一番良く日が当たる箇所です。
日射による紫外線と結露水による劣化だと分かりました。
建物のサッシはアルミサッシの複層ガラスでしたが、冬期の室内外の環境条件によっては結露が発生してフローリングの劣化につながります。
*最も劣化が見られたのは設備
内装と同時に水廻りを見て行きますが、キッチンの水栓から水を出すと、、
水栓器の蛇口だけではなく、水があふれるように水栓器本体から漏れ出てきました。。。
さらに、排水管のU字トラップが錆びて、配管に穴があきそうになっています。
まだあります。
キッチンの排水管と建物の排水管の接続がむりやりガムテープで補修してあります。
キッチンがこの状態だったので、洗面所もみたところ、洗面所も同じ状態でした。
水栓器や配管類の耐用年数は20年も無く、15年程度のようです。
その他にも換気扇の動きが悪くなっていました。
オール電化でしたが、給湯器は問題なく作動していました。
給湯器の耐用年数は10年と言われています。今回もお風呂場のリモコンが新しかったので、過去に交換、修理をしているようでした。
*天井裏、構造は問題なかったが。。
クロス、設備と劣化が激しい箇所を見て若干不安になりつつ、レーザーレベルを用いて床、壁等のゆがみを見て行きます。
1階はフラット。ゆがみ無し。
2階は床に少しの傾斜は見られましたが、許容範囲内で納まる良い状態でした。
少し安心しつつ続いて、床下と天井うらへ。
床下は問題なし。
今までインスペクションした住宅で一番良い状態でした。
基礎のクラックも少なく、表面の状態からも打設状態が良いことが分かります。
鉄筋入りのコンクリート布基礎で設備配管、人通用の開口部もあります。
土間部分には防蟻防湿シートが全面に敷き詰められていて、床下は乾燥しています。
蟻が居た痕跡も無し。 配管も水漏れ無くきれいな状態です。
今の施工現場では当たり前のことでも、古い物件は状態が酷くて驚くことが多いです。 今回は状態がとても良かったです。
*荒らされた天井裏、工種が重なる箇所は要注意。
一方、天井裏というと。
雨漏り、虫や獣が入った痕跡は見られません。 床下同様構造や下地の状況もとても良い状態でした!
ですが、丁寧に天井裏に敷き詰められたグラスウール断熱材が荒らされていました。 一体誰が? こんなことをするのでしょうか。
今回は電気工事業者でした。
•電気配線のとき。
•屋根テレビアンテナの配線を室内に配線するとき。
•天井のダウンライトを設置するとき。
今回のように天井裏に断熱材を施工している際は上記のようなとき断熱材が電気工事を施工する際に妨げになるところが出ています。
本来は現場管理者が気を使わないといけない箇所です。
原因は管理が行き届いていないか、引渡し後に行われた工事がどちらかでしょう。
こういった工種が重なる箇所は特に気をつけないといけません。
断熱がめくれた箇所は断熱性能が低く、熱橋となって結露などの悪影響が出てしまいます。
今回、天井裏に施工する断熱材の難しさを改めて学びました。
ひととおり、全体を診断して、経年で劣化する箇所、問題ない箇所、補修の重要性などが改めて分かりました。
*改めて思う住宅の手入れの大切さ
これから中古住宅の流通が多くなることが予測されています。
今までの不動産流通では木造住宅は約20年で資産価値ゼロで取引されている状況でした。
今後は、適切に補修して大切に維持している住宅は売却する際にもその価値を評価できるようになるでしょう。
人間の身体も同じですが、最初の症状が軽くても徐々に悪くなって直すのに時間も費用も何倍もかかってしまうことがあります。
経年で不具合は出るものですから、見つけ次第できるだけ早期に処置することで、将来の不安を軽減することができると思います。
*ホームインスペクションは建物の健康診断
お住まいの住宅で気になることがあれば、早めにホームインスペクションをお薦めします。
特に気になる所は無いけど、築10年,15年経ったお家をお持ちの方は一度インスペクションをご検討ください。
ホームインスペクションのご依頼をお待ちしています!
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